酒場with温泉(仙台)


 東北地方の温泉旅に行くとき、東京への帰路で仙台を通る場合は、途中下車をして必ず寄る酒場がある。その名は「源氏」。仙台のみならず名が知られる名酒場である。
 路地奥にひっそりとあるその酒場は落ち着いた木調で、電球色の灯りがうっすらとともる店内はそれほど広くはなく、詰めて20人ほどが座れるコの字カウンターのみ。口開け前から人が並び、およそ20人くらいが並んでいれば、一時間くらいは待たなければ呑めない。
 お酒はビールと日本酒が四種類のみ。日本酒はひとり4杯までで、まず漬物が供され、1杯ずつに酒のつまみが付く。1杯目は酢の物、2杯目がやっこ豆腐。3杯目が刺身の小皿、そして4杯目がおでんかみそ汁となる。日本酒1杯が900から1100円なので、3杯呑むとだいたい3000円くらい。
 まさしく大人の隠れ家的酒場の源氏であったが、ネット情報があふれてもはや隠れてはいない。年配の常連さんが多かった客層も、近ごろは若い人が増え、そのぶん騒がしくなって(元気ともいう)、以前の凛とした雰囲気はなくなってきている。まあ、自分も若かったときもあるので文句などないが、この雰囲気を守っていくのも次世代の呑んべえである若人の努めだ。
 それでも、いつ訪れてもテキパキとしきる着物姿が艶やかなおかみさんがいる限り、この酒場は安泰にちがいない。

(温泉呑んべえ)
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