Without 2022年総会・納会

 2022年度の温泉達人会の総会・納会は、11月に九州大分の壁湯温泉「旅館 福元屋」で開催された。せっかく九州に行くのだから前後日を活用しない手はない。前々日着の羽田発大分行きの航空チケットを、ANAの早割スーパーバリュー75Lをつかって12,670円で確保。LCCのほうが安いけれど、欠航時のリスクを考えるとこっちのほうが安心なのである。

泥まみれからスタート

 午前中に大分に入り、空港バスで市中へ行き、路線バスに乗り換え明礬温泉方面に。泥湯で知られる「別府温泉健康ランド」は、何年か前に時間がなくて前を素通りしたので、とりこぼしの回収だ。その晩は、明礬温泉「湯元屋旅館」泊。湯船は小ぶりだが、硫黄泉と明礬泉の二つの湯を貸し切りで入れ、加温加水なしの源泉かけ流し。明礬泉の香りっていいね。
 翌日は朝からレンタカー。近郊の「赤松温泉(ミニジャングル風呂?)」「金屋温泉(お湯が秀逸)」「安心院温泉センター(循環だけど建物がB級でそそる)」「山香温泉センター(きれいだが地味なかけ流し湯)」をはしご。市内に戻って、共同湯の「弓浜温泉(開いている時間が短い)」「玉子温泉(古い温泉銭湯)」「あたみ湯(駅前温泉銭湯)」をはしご湯した。
 玉子温泉の番台にはおばあちゃん、湯船にはじいちやんひとり。おばあちゃんとは服を脱ぐ間に世間話(話が続くのでゆっくりと脱ぐ)、郊外からたまに来るというじいちゃんとは、この銭湯のいろんな話を。息子さんが跡を継いでいるというので、安心ですねと言うと、60歳超えてるって、ああ・・
 泊まりは別府駅すぐ前に怪しくそびえる「ホテルはやし(素泊まり3700円)」。このいかがわしさが最高にいい。最上階には展望風呂(男湯)があって、源泉かけ流し。翌朝はすがすがしくて渋〜い朝風呂を堪能できた。
 夜は会の代表と会員の井伊部長と格さんとで、駅近くの焼肉屋「一力」で呑み。ホルモン万歳、うまいうまい。悪酒でちょっと代表にからんでしまったが、いや、それも含めて楽しかったなぁ、ごめんね。
 総会・納会の当日早朝は、「駅前高等温泉」で朝風呂。前に「ぬる湯」に入ったから、今回は「あつ湯」のほうへ。かなり熱いと聞いていたが43度弱くらい? たまたま?なのかで、拍子抜け。
 午前中にローカル列車で由布院へ。代表がラジオ出演(録音)をするというので、スマホのアプリで聴きながらのどかな車窓を眺め移動。由布院駅に着き改札前から外を見ると、まるで原宿の竹下通りなみの混雑で、皆さんここに何を求めて来ているのだろう? ただ、通りを歩いているだけにしか見えないのだが・・ 駅から一歩も出ず特急に乗り換え、壁湯の最寄駅「豊後森」着。そこから路線バスで壁湯に向かい、チェックインした。

あの時の光景が目に浮かぶ

 壁湯温泉「福元屋」には今から30年近く前だったか、バイクの九州ツーリングで泊まったとき以来だ。その当時は簡素な建物でジミ泉の雰囲気もあったが、そのあと改築されて雰囲気のいい和風旅館になっていた。さっそく川沿いの露天風呂へ。前に入ったときは、7、8人のやんちゃそうなおにいちゃんたちがあとから入ってきて、全員の背にはもんもんが。いや、壮大な風景だったなぁと、遠い目。
 総会・納会はほどなく終わり(会内ネタは楽屋落になるので、それはまた別の話)、皆がまたねと退散するなか、温泉パパと娘アヤミ嬢共々ここにもう一日連泊する。鉄分が濃い父娘は車で廃線跡に出かけ、自分は当然のごとく、風呂、ビール、風呂、ビールのスパイラルに突入していった。
 翌日は、JRで日田まで出て、そこでレンタカーを借りて「夜明薬湯温泉(意外と穴場かも)」「なかま温泉(そうめんウリを購入)」「若山温泉(土産物的食堂併設の湯)」「折戸温泉(ちょっと立派な掘っ立て小屋風)」へ。その晩は、筌の口温泉「新清館」泊。だだっ広い混浴の茶色のにごり湯で過ごす。すぐ横にある共同湯は24時間開いているので、真夜中三時ころに行ってみると、さすがに誰もいない。広い湯船でひとり湯は、気持ちがいいのやら気味が悪いのやら・・
 次の日は、天ヶ瀬温泉へ。玖珠川沿いに点在する、6つの共同露天風呂をはしごするつもり。一番大きくて開放的な「神田湯」は、「難易度高めの温泉」でもある。湯温は雨模様だからなのか、わりとぬる目で気持ちいい。平日の昼下がりなので通りに人も歩いておらず、難易度は湯温と同じくかなり下がったようだ。さらに上流にある「鶴舞の湯」に行くと、は閉鎖され半分崩壊していた。戻った所にある「薬師湯」は、ほぼ囲いで視界が悪そうなのでパス。その近くにあるはずの「古湯」は見当たらない。対岸にある「益次郎温泉」は、歩いて橋を渡るのが億劫になったのでパス。結局、駅前のその名も「駅前温泉」に入って日田に戻った根性なしであった。
 日田の駅前にいい感じの大衆食堂「寶屋 本店」があったので昼食。ちゃんぽんが有名らしく、大・中・小とあるなかでその小と当然のビール大瓶。駅前食堂って、敷居が低くてほどよい感じの賑やかさがあって、駅前食堂というそのネーミングの響きも含めて、実にいい。和むんだよね。ちゃんぽんも美味だったし、当たり! 日田からはJRで博多に出て、今夜は博多のビジホ泊となる。

屋台呑みの野望、儚く消える

 博多といえば屋台、屋台といえばはしご酒。さぁ呑むぞと意気込んで来てみたはいいが、雨だ。雨だと屋台は出ないのか。まったく屋台が見当たらない。悲しい気分で中洲界隈を放浪、渋そうなおでん屋「おでん安兵衛」に入る。老夫婦と息子?が手伝う朽ち果て系、でも背筋が通った雰囲気の店内。じいちゃんがお皿に盛ってくれる味のしみたおでん。春菊のおでん、旨い! 屋台じゃなくてもここで呑めたのはよかったのかも。
 そのあと天神にある、「大衆食堂スタンド そのだ」へ。大阪の大衆酒場の雰囲気のある長いカウンターで一杯したのち、駅まで歩くとなにやら屋台っぽい明かりが見える。あ、屋台だ。ここだけ雨でも出したのか。並んでいるけど、待つしか選択肢はないではないか。30分くらいで着席でき、念願の屋台呑み。都会の風景のなかでの屋台呑みは、遠い昔に東京の高円寺駅前に出ていた、おじいさんが引いていたおでん屋台を思い出す。古いトランジスターラジオから、かすれた音のJAZZが流れていたっけ。

とどめは角打ち

 帰りはフェリーで帰京する。夜遅くに新門司港から出航なので、それまでは角打ちをはしごする。角打ちといえば、酒屋で酒が呑めるという、今や東京のみならず全国的にもその名称が定着しているが、角打ちの本場は北九州、そのなかでも小倉周辺には数多くの角打ちが点在している。九州旅の最後は、角打ち呑みでフィナーレだ。
 朝に大衆食堂「一膳めし青木堂」。朝早くから賑わっており、呑んでい客もちらほら、1杯ひっかけてからJRで門司港駅へ。そこから歩いて数分の「魚住酒店」へ。あれ? 時間外か。マダムって感じのおばさまが営む、昭和な喫茶店「リバー」で時間をつぶして再来店。噂通りの激渋だ〜。そのあと、九州工大前駅まで戻り、徒歩10分ほどの「肥後屋酒店」。さらに戸畑駅に行き「藤高酒店」。どちらもカウンターがあってほとんど渋い立ち呑み屋だ。本場の角打ちって、酒屋のなかで呑むというよりは、呑み屋で酒を売っているって感じなのかな。いや〜いいぞ。十軒くらいリストアップしていたが、さすがに無理。今回は三軒にしといたる。
 フェリーの横須賀到着は翌夜とあって、呑むことしかすることがない。船内には風呂もあって、なんと半露天もある。温泉じゃないけれど、風呂とビールはつきものだ。それにしてもいい呑み屋が多かったなぁ。また行こう。あれ、温泉よりもリキが入ってる。ま、いいか。

(text & photo by shunji izawa)

玉子温泉
ホテルはやし
ホテルはやしの展望風呂(男湯)
壁湯温泉の洞窟風呂
筌の口温泉・新清館の混浴露天
天ヶ瀬温泉の神田湯
おでん安兵衛の絶品、春菊のおでん
大衆食堂スタンド そのだ
雨の中、唯一店を出していた屋台
喫茶店リバー
魚住酒店
肥後屋酒店